アカデミー賞の選出

投票権を持つ映画芸術科学アカデミー会員は、大部分がハリウッドの業界関係者による編成です。新聞記者や映画評論家など、一般の公平な立場で判断するようなジャーナリズム分野の会員が少ないこと、他の映画祭とは違う特徴となっています。
各賞の投票についても、例えば「アカデミー監督賞」であればハリウッドで働く映画監督の会員がノミネート作品選定に投票するなど、賞に応じた業務に携わる会員が担当します。
しかし、作品賞のノミネートおよび各賞ノミネート発表後の本選の投票は全会員によって行われます。最終的には各部門の専門家以外の評が結果を左右しています。

最終投票は、アカデミー賞授賞式の一週間弱前に締め切られ集計されます。投票の最終結果は厳重に封印されて、大手会計事務会社のプライスウォーターハウスクーパースの金庫に保管され、結果書類は当日、同事務所の職員によって授賞式会場に直接持ち込まれます。TV生中継で、会場に入っていく会計事務所の職員が映されることもあります。
賞の授与担当プレゼンターがステージで開封するまでは、外部へは一切知らされないことになっています。

アカデミー賞の受賞結果

受賞結果について、当初は報道の関係上マスコミには事前通達してありましたが、1939年に『風と共に去りぬ』が作品賞を受賞した際に、一部新聞が主宰者との協定を破って前日に抜け駆け報道をしたため、翌年より会計事務所の管理するシステムとなりました。
アカデミー賞はハリウッドの映画関係者が選考を行うことから、各賞の選出については、アメリカの国情や世相などが色濃く反映され、必ずしも芸術性や作品の完成度の高さでは選ばれるわけではないといわれます。
例えばカンヌ国際映画祭などの著名な国際映画祭で大賞を受賞した作品が、アカデミー賞ではノミネートもされないことが多くあります。
他の国際映画祭では、どうしても同じ作品の受賞が揃ってしまう傾向がありますが、アカデミー賞の選考はユニークで、独特の雰囲気を持っているといえます。

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